愛玩具

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電話をかけてすぐに気づいた。 僕は小心者だ。 エセ関西弁というピラミッドはいとも容易く崩れ去った。 「あのですね…赤ちゃんがハイハイでチャイルドプレイで…」 サポートセンターの担当はさすがに理解できないのか、相槌だけをひたすらに打っている。 「起動後に…あのえっと…赤ちゃんになってしまいまして…」 やっとのことで上擦った声をコントロールし、一応のことは伝えられた。あとはサポートセンターの腕にかかっている。 「左様でございますか。お客様の購入されましたタイプに関わらず愛玩具は初期におきましては知能レベルは赤ん坊と同程度となっております」 サポートセンターの敏腕…と思われる担当は長い台詞を息継ぎなしで一気に言い切った。 「すげぇ…ってそこで感動してどうする」とセルフ突っ込みをしながら、いつの間にか緊張はほぐれていた。
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