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「どうしたの?」
白石課長が私の顔を覗き込む。いかにも仕事のできそうな綺麗な顔。
そう宝塚の元男役的な。
「いえ……」
「そう?まぁ私も、経験した事あるからわかるわ。いつでも相談に乗るから今日は何も考えないようにしてゆっくり休みなさい」
張りがあるいい声。魔法をかけられたようにうっとりしながら私は思い出した。
私達が入社して間もなく、白石課長は事故で彼氏を亡くしたの。
噂は瞬く間に女子社員に広まったけど、白石課長は一度も弱味を見せなかった。
そんな事私にはできない。
小学生の時におじいちゃんが亡くなって以来、私の身近で人が亡くなるのは初めて。
でもあんまり実感がないのよね。
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