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「家まで送るよ」
恐らく中水君は白石課長に車で送るように言われたんだろうな。
普段から冷たい雰囲気の彼はぶっきらぼうに言うと車をスタートした。
「早苗は戻るのに中水君はいいの?」
中水君は眼鏡のズレを直す。
「ああ、彼女とは課が違うからね……」
そこから中水君は早苗との分担作業を経理的観点で色々と説明してくれた。
意外によく話し出したので驚いちゃった。気まずい沈黙の空気を覚悟していたから。
だけど私は相槌を打つだけで別の事を考えていたの。
たぶん一人になると空虚感から実感できるんだろうなって。
そりゃ実感したくないけど、自分が冷たい人間だと思いたくないし。
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