青い薔薇の傷跡

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それは今から2年前 「ちょっとまちなさいよ、翔」 “翔” 葵にそう呼ばれた「翔」という男の子 漆黒の髪を揺らして 無邪気に笑う男の子 いつでも 真っ直ぐに私を見てくれた 私の理想の人―― 「やっ…やっと追いついた」 ぜーぜーと息を切らす 「お―――やっと追いついたか(笑)」 余裕で私より先に着いてた翔 「あんた…何でそんなに足早いのよっ… 私これでも女子の中では一番足早いのに…」 息をきらしながら翔に言う 翔は笑って 「だてにサッカーやってませんよ」 サッカー少年なめんなよ?なんて 悪戯に笑う翔 私はそんな翔が大好きだった かけがえのない人だった ずっと闇の中にいた私を救ってくれた人 私に『光』をくれた人 毎日毎日 楽しくて 大好きな親友がいて 大好きな翔がいて こんな幸せはないと思った だからかな? だから 神様は私から翔を奪ったの?
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