余命一年(最期)の出会い

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まだ冬の寒さの残る春の日差しが射す頃…。 看護婦「牧野さん。牧野ユウキさん。」 牧野「はい」 看護婦「こちらへどうぞ」 街の大学病院の待合室。 看護婦に案内された牧野は診察室へ入り腰を掛けると目の前の医師がゆっくりと口を開いた。 医師「ご両親には話はもうされたかね」 牧野「……はい」 医師「あなたの大事な人は?」 牧野「今は独り身なので…」 牧野の身体は重度の心臓病に蝕まれていた。 手術をしても成功率3%という、最も危険な状態。 医師でさえも完全白旗状態。 牧野「覚悟はできています。ただ…」 医師「ただ?」 牧野「…あと、いつまで…」 震えた声の問いに医師は告げた。 医師「…永くて来年の桜が咲くころ」 牧野「そうですか」 牧野ユウキ…この物語の主人公である。21歳の至って普通な大学生。高校時代は野球の名門校へ進学し甲子園にも出場した過去も。卒業後も大学で野球を続けるも試合中に急に胸(心臓)の痛みを訴えグラウンドに倒れ…… それが牧野と病気の闘いの始まりだった。 診察を終え家への帰り道、僕の携帯が鳴り響く 牧野「もしもし」 友人「牧野?急なんだけど今夜空いてない?合コンの人数が合わなくて困ってるんだよね。
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