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あの一ヶ月は、私にとって本当に大切な、かけがえのない日々でした。
「雅人、メリークリスマス。」
私は正面から、彼に微笑みかける。
彼はずっと笑ったままで。
もうその彼は、笑うことしか知らない。
不意に私は抱きしめられる。
「麻依、泣いて良いんだぞ…」
そう言われた瞬間、私の中で何かが弾けた。
大粒の涙が頬を伝う。
2015年12月25日。
この県にしては珍しい、ホワイトクリスマス。
辺り一面、真っ白な雪の中、私たちはあの公園のベンチで寄り添っていた。
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