私と哲夫

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すると私の目の前を、私の見覚えがあるバックを持った男が、横切り、喫茶店に入ろうとした 「私のバック⁉」 と私は思わず、叫んでしまった 周りの人々が、私のバックを持っている男を、捕まえようとしていた 「違いますっ‼違うんです‼」 と私は周りの人々に、頭を下げながら、私のバックを持っている、男に近寄った 「あなたのバック?」 とその男が言うと、私はその男に向って、小さく頷いた 「すいません、妹が取り間違えてしまって」 とその男は、頭を掻きながら言い、言い終わると、私に頭を下げた 「すいませんっ‼ 今、お時間、ありますか? あるんだったら、少し、付き合って、貰えませんか?」 と私はその男に聞いた 「いいですよっ‼ 私も、何か? お礼を、と思ってましたから 近くに、私の行き付けのお店がありますから、そこに行きましょ」 と言って、その男はタクシーを停めると、私を先に乗せ、行き先を告げながら、その男も乗り込むと、タクシーの運転手は、ドアを閉めると、静かに車を出した 車が動くと、その男はどこかに電話を掛け始めた 十分後 人気のない川原に、タクシーは停まり、その男はタクシーから降り、そして料金を払った 「こっ‼こんなところに、何があるんですか? ふっ‼ふざけないで下さい」 と私は、その男を睨みながら言うと 「面白い所ですよ もう、ちょい先ですけど」 とその男は笑いながら私に言い、そして私にその男が右手を伸ばして、私の手を握り、私をタクシーから降ろした タクシーは暗い川原から消えるように、去って行った 「こっちです あの青い屋根が、目的地です さぁ、行きましょ」 と言って、その男は歩き出した 私は、その男の後ろを付いて行った 少し歩くと 「あれって、小学校か?中学校の体育館ですよね?」 と私がその男に言うと 「着きましたよっ‼ やっている、やっている」 とその男が言うと、二人の耳には、カントリー・ミュージックの心地好い、音色が響いていた 「てつっ‼遅いよっ‼」 と四十代の金髪のアメリカ女性が近付いて来た 「おうっ‼てつっ‼ ガールフレンド? チャーミングなガールフレンドね」 と言って、その金髪のアメリカ女性は、私とその男の手を握ると、空いてる席に案内した 暫くすると、私はお酒と音楽の心地好さで、英樹の事を忘れていた そしてその後、私はその男に抱かれていた そう、それが、今の夫の哲夫だった
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