終りが始まり

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 灰色の雲が覆う空は、昼間だというのに暗かった。  風はあまり強くなく、薄暗いとはいえ昼間なのだが、その男は人気の無い場所に居た。  地上五十五階のマンションの屋上だから当たり前なのだが。 「~♪」  鼻唄を歌いながら、本来なら開放されていない屋上でその眼鏡の男は片膝をつき地面に置いたケースを開ける。  中に入っていたのはスコープとバイポッドの取りつけられたライフル―――S&W-M&P15PC――― だった。  男は取り出したM&P15PCにサプレッサーを取り付け弾倉を装填し、コッキングをしてから伏射の姿勢になった。
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