終りが始まり

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 スコープの中では標的が何やら演説をしている。  男はM&P15PCの安全装置を外し、引き金に人指し指をかけた。  揺れ動くスコープ。鼻唄をやめ、男はゆっくりと息を吐き、止めた。  音  ビルの合間を縫うようにして空気の中を.223口径の弾が飛ぶ。  不規則に吹く風の動きすら見越した弾丸は真っ直ぐには飛ばず―――だが標的へと向かって飛翔する。  標的の頭部に穴が空く。  その様子を見て野次馬が悲鳴を上げるよりも早く、必殺の意図を持った第二、第三弾が胸部に命中。  標的はうめき声も出さずにくずおれた。
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