終りが始まり

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「トラトラトラ、我狙撃に成功せり、なんちゃって」  そんなことを呟きながら、男は弾倉を外し薬室を空にして、サプレッサーも取り外してM&P15PCをケースにしまった。  その耳には野次馬の悲鳴は届かない。  男はケースを持って立ち上がり―――ふと思い出したように、転がっていた三つの空薬莢をポケットにしまい、屋上を後にした。  静かだった空気を、サイレンの音が満たそうとしている。
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