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思わずうめいてから、ジャケットの下から取り出したハンカチで―――無駄な努力と知りながら―――血を止めようと試みる。
出てきたハンカチは、俺の趣味に全く合わない、熊のプリントがついた物。その熊が、血に濡れていく。
―――洗って返しなさいよ
―――分かってるって
「・・・あ」
ふと、思い出したのは、ある日の会話。この、俺に合わないハンカチの持ち主との会話。
過ぎ去った日の、もう果たせない約束。
「はは・・・・・・泣けてくるぜ」
この状況の根源であり、自らが招いたモノ。
もう二度と、戻らない日々。
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