雪、轟音、路地裏にて。

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「はは、ははは・・・」  ハンカチを見つめながら、俺は涙を流していた。ポタポタと落ちる涙が、ハンカチを汚していく。  結局俺は、何も出来なかった。  約束すら果たせなかった。   「はぁ」  ひとしきり流した涙のお陰か、俺の覚悟は決まった。  M945の銃口を、自分の頭に向ける。  引き金が絞られ、そして――― 「すまなかった」  銃声    雪が降り積もった路地裏で、一人の男が倒れていた。  男の手に握られていたハンカチは、風に煽られてどこかへと飛んでいった。
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