霧立ちのぼる路地の夕暮れ

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  「どうしたの?」  甘い声に、目が覚める。ソファから起き上がってみると、長い髪の女性がキッチンに立っていた。 「いや、夢を見ていた」 「羨ましいわね」    そう、これは過去の記憶。  遥か彼方の記憶。  幸せなセカイ 「ぎがぁぁぁぁ!」  奇声が、そのセカイを終わらせた。     「はぁ、はぁ、はぁ」  意識を取り戻してみると、目の前に肉塊があった。  俺が叩き込んだ五発の44マグナムの衝撃に身をよじらせている。 「どうしたの?」  と、肉塊が普通の声を出した。
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