なつき☆すたんだ~ど

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  「ねぇ、なっちゃん」   「なに?」   夏姫の教室、二年三組。 席に座り教科書を的等に開いていた夏姫に月姫が話しかける。 ちなみに夏姫のあだ名はなっちゃん。 そう、なっちゃん。 なっちゃんである。   「ほら、頼まれてたブツ」   月姫はそう言うと数枚の写真を渡す。 夏姫はその写真を無言で受け取り……。   「……うん。さすが月姫、腕は二十年前とかわらんわね」   「そうだろうそうだろう、二十年前は生まれてないがそうだろう」   自慢気に胸を張る月姫。 夏姫はしばらく写真を眺めながら。   「ああ……、特にこいつ! こいつがいい!」   一枚の写真を見て嬉しそうに写真に写る……猿のぬいぐるみを指差す。 猿のぬいぐるみ、それは全ての写真に写っている。猿の周りには犬やら猫やらの動物のぬいぐるみが見える。 そしてそれら全て、巨大な透明の箱に詰まっている。   「私にそのぬいぐるみ達の違いはさっぱりわからんが、なっちゃんが喜んでくれて幸いだ。しかし……」   月姫は腕を組み小首を傾げ。   「なんでわざわざクレーンゲームのぬいぐるみを撮る? しかも撮影禁止のゲーセンで」   透明の箱はクレーンゲームの箱だったらしい。 ちなみに今回月姫が撮影してきたのは撮影禁止のゲームセンター。 そこでわざわざ隠し撮り。   「分かってないわ、月姫。意味もなく盗撮されたぬいぐるみってのがなかなか……」   と、うっとりした顔で写真を見つめる夏姫。 いや、怖いから。   「いや、さっぱりわからん。ねぇなっちゃん。写真よりも実物を取りにゲーセン……」   「却下」   秒殺。   「今日の放課後は隣町に出没するって噂の巨大猿を見にいくんだわ」   なんだそれ。   「なら……、ついていっていいか?」   めげない月姫。 夏姫はしばし考え。   「いいわよ」   「よし」   念願叶ってガッツポーズを取る月姫。 巨大猿は確かに気になる……。
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