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そこは、懲罰房だった。
趣味の者が収容者を連れ込み、帰さない場所だ。
その証拠に隣接して焼却施設があり、動かなくなった身体を灰にすることができた。
一通りの拷問器具が並んでいる。
「脱げ」
言ってから気づいた。
この男にドイツ語が通じるか分からないではないか。
しかし、言葉など必要はない。
獣姦を望む人間が相手と会話したいと思うか。
反抗なく男は脱いだ。
どうやら少しは理解できるらしい。
ここではその一言ですなわち何も纏わずにいろという意味になる。
鞭と火傷の跡が肩から腹にかけて、そして左の前腕には入れ墨がある。
「386911」
ここの収容所は様々な者たちが送られてくる。
下等と見なされたものたちばかりだ。
まず、金儲けしか能がないユダヤ人たち。
次に何も生産性のあることをなさないジプシィ、主にロマ族と呼ばれる放浪者たち。
そして、心身障害者、共産主義者、政治犯、刑事犯に同性愛者。
386911番の胸部を見た。
そこははだけていて、彼の「罪状」を示すワッペンが無かった。
連行される途中あたりに破られて、もう階級付けする必要もなかったので放っておかれたのか。
メアリもどうだって良かった。
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