第一章

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まず、家畜用の車両に数十人で詰め込まれてここまで運ばれた後、プラットホームにおりて「選別」される。 比較的若く労働可能と見なされれば右の列、そうでなければ左の列だ。 右の列は収容施設に。 粗末なつくりの共同部屋から「働けば自由になる」と書かれた門をくぐって、連日連夜の重労働を義務付けられる。 使い物にならなくなったら、その場で殺されるかここまで来させるか。 脱走者や何かしらの方法で外部と連絡をとったと見なされればみせしめのため公開処刑、盗みも処刑、余計な発言も処刑、文字を書いても処刑、なんとなく気が向いて処刑。 鉛玉一発ならまだいい。 首吊り、袋だたき、鞭打ち、ナタ、高圧電流、実験台、水責め、火攻め、餓死室。 処刑方法はいくらでもあった。 一日に与えられるカロリーは普通の生活の一食分にも満たない。 衛生環境はすこぶる悪く、病気になったら処分の手間が軽くなるので、喜ばれた。 左の列は、運ばれてきたものの大部分がここにむかわされた。 男は右の列になったはずだ。 識別用の入れ墨が彫られ、訓練を受けさせられる。 鞭で打たれるとか、焼きを入れられるとか、割れたガラスの上を歩くとか、そういう訓練だ。 「386911番、来い」
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