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和泉が、眠りから覚めなくなって、今日で、二週間。
規則正しい寝息で眠っている。
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なんとか、一命はとりとめた。
移殖も成功した。
しかし、体が、ある種のショック状態から抜け出せないでいるのだ。
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たまに、ピクッと体を震わせるたび、俺は、和泉の頭を撫でた。そして、柚奈に話すんだ。
連れて行かないでくれ。って……。
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ふと、気が付くと、俺は、また花畑にいた。
遠くで、柚奈が誰かと話している。
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和泉だ。
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『和泉……』
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動けない。
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『和泉ーーーーー』
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和泉が、こちらを見た気がした。
でも、また、柚奈と一緒に歩いて行った。
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『和泉…和泉ーーーーー!!!!』
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気が付くと、汗だくでベッドに横たわっていた。
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『お疲れだったんですね?華山さんの病室で倒れたんですよ?』
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それで、あの夢か……。
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『華山さん、早く、目を覚ますといいですね……あまり、無理はいけませんよ?華山さんが目を覚まして、あなたを見たらきっと泣いちゃう。ちゃんとご飯たべてますか?食事ほとんど残してらっしゃるでしょ?』
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鏡で確認して見た。
あんな夢も見るだろうなぁ。
俺は、まるで、血を飲んでない吸血鬼だ。
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『きちんと、栄養を取ってくださいね?』
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出された食事に手をつけた。
思いのほか、俺は腹が減っていた。
俺は生きている。なんで、俺が……。
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2日後…俺は退院した。
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街は、クリスマス一色。
俺の天使はまだ、目を覚まさない。
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