10人が本棚に入れています
本棚に追加
爺さんの死亡報告を受けてから30分後、天界では緊急会議が開かれようとしていた。
天使達は師走真っ只中の多忙期に集められたものだから、眉間に皺を寄せている者もいれば、これ幸いとばかりにノートパソコンを開いてはデスクワークをしている者もいる。その頂上で俺は目を閉じ鼻風船を……もとい、爺さんに黙祷を捧げているのだ!
「え~、今日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます」
そんな中、ミカエルだけが生真面目にサラリーマン顔負けの進行を務めている。
「早速ですが本題に入らせていただきます。もう聞かれている方もいらっしゃると思いますが、サンタクロースの爺様が先刻トナカイの下敷きになり、お亡くなりになりました」
「……!?」
爺さんの死亡経由は初耳だった。
トナカイの下敷きって……爺さん、あんた何十年、いや何百年トナカイと付き合ってんだよ……。もっとマシな死に方があるだろう!!なんてツッコミながら、俺は爺さんとの想い出を一つ一つ思い出していた。
爺さんと出会ったのは、俺がまだ小さな頃だった。
ある日、地上に降りた四大天使の一人ガブリエルが俺に地上の土産と言って、一冊の絵本をくれた。
その絵本は枕元に靴下を置いているとサンタクロースがプレゼントをくれるという物語で、それを信じた俺はクリスマスでもないのにその日から枕元に靴下を置いたんだ。
最初のコメントを投稿しよう!