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その声に驚き振り返ってみると、こちらを見つめる拓真の目があった。
「拓、真……」
『ありがとう。幸せになるから――。必ずみんなを幸せにするから――。だから時々、空から僕を見ていて。僕の笑顔を――』
感無量とはこういうことを言うのだろうか。
余りの驚きと嬉しさで胸がいっぱいになり、俺は言葉を発することが出来ないでいた。
代わりに右手の親指を立て、拓真に負けない位の笑顔を見せた。
さよなら、拓真。
俺は拓真の笑顔をしっかりとその目に焼き付けて、背を向け歩き出した。
初めてのサンタクロース。
ただ一人のためのサンタクロース。
俺は今日という日を、拓真という少年を忘れることはないだろう。
この真っ白な雪のように澄んだキレイな心を持つ人間を――
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