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「いや……これは……あの……」
弁解のしようもなく、ついどもってしまう。
わかってるくせに!!
俺は言葉にすることが出来ず心の中で叫ぶしかなかった。
「今回のことは未然に防ぐことが出来たのですが、あえて黙っていた私にも責任はあります。以後こういうことのないようにお願いしますよ?」
「お、おう!」
「しかし――、拓真くんの笑顔が見れて私達も安心しました。これからも幸せに過ごして欲しいものですね」
「……あぁ」
このミカエルの本音が俺の不安を拭い取ってくれた。
決心して拓真親子に生きる権利を与えたのはいいが、心のどこかで運命を変えたことに躊躇したことも事実。
俺のしたことは拓真親子だけでなく、その他の人々の運命をも変えてしまったのだ。
拓真親子が生きることによって幸せになる者もいれば不幸になる者もいる。
だけども、自分の幸せは己の手で掴むもの。
どんな屈強な試練にぶち当たろうとも誰かのせいにすることなく、全てを受け入れ最終的な決断をくだすのは自分だ。
生きるとはそういうこと。
人は人によって傷つけられ裏切られたりする。
だけど、支えて助けてくれるのもまた同じ人間。
傷つけられることを、裏切られることを恐れて信じる心を忘れてほしくない。
決して傷つくことや裏切られることが不幸なんじゃない。
生活が貧乏なことが不幸なんじゃない。
信じることを忘れ、心が貧しくなることが不幸だと俺は思う――
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