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ミカエルが何を言いたいのかわかっていたが、俺はあえて意地悪をしてみた。
なにせさっきからミカエルは俺を小馬鹿にしたようなことばかり口にしている。
いくら普段ミカエルが俺がサボった仕事を代わりに熟してくれてるとは言え、ミカエルは天使で俺は神様だ!!
俺にもプライドってもんがあるんだ。
するとミカエルは俺の言葉を聞くなり、口を一文字に閉じじっと俺を見上げていた。
「……!!」
どうやらいつもの冷静沈着なミカエルに戻ったらしい。
いかにすれば俺が折れるかをヤツは心得ている。
「…………」
無言の脅迫。
地上には『鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス』という諺と、『鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス』という諺があるようだが、ミカエルは後者なのだ。
無言の脅迫で俺を追い込み――
「あぁ!クソ!わかったよ、やればいいんだろ?仕方ねぇな~、俺がサンタをやってやるよ!」
俺が大声でそう叫べば、それまで静まり返っていた大広間がザワザワと騒がしくなった。
やっとその言葉を言ってくれたかと、机に広げてたノートパソコンを片す者、これ以上仕事が増えなくて良かったと胸を撫で下ろす者もいた。
「さすがは神様です」
「あん?」
またしても小馬鹿にするミカエルを俺は睨みつけた。
「誰よりも忙しい神様なのに自ら率先して立候補なさるとは……。きっとサンタクロースの爺様も、あの世で嬉し涙を流していらっしゃることでしょう」
あの世って?
ここじゃないのか?
それにあの言葉を言わせたのはお前じゃないか!!
っていうか、結局俺はまだまだ神としては青二才ってことか。
いつまで経ってもミカエルを負かすことは出来ない。
きっと、これからも――
だけどなぁ、爺さん?
正直な話、俺もやってみたかったんだ。
あんたが一生を捧げたサンタクロースってやつをよ?
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