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「では参りましょうか?」
「あぁ」
ガブリエルは俺の返事を聞くと、背中に生えている真っ白でふわふわの羽根をファサファサと動かしだした。
そして俺の手を取ると、気持ちいい位のスピードで地上へと急降下したのだ!!
「ふぁ――ッ!?」
俺は当然のように驚き、声を発しようと試みたのだが、重力が邪魔をして口を動かすことが出来なかった。
どうしたんだ!?
ガブリエルが俺にこんな手荒なマネをするわけが無い。
でも、現にガブリエルは――
余りのスピードに俺の思考回路はそこで止まった。
地上に降り立った俺の膝は、がくがくと音をたてて笑っている。
そして声を発しようとした俺の口は開いたまま閉じることが出来ず、カラカラに乾ききっていた。
「神様、どうでしたか?猛スピードのダイビングは」
ガブリエルはニッコリと微笑みながら、羽根を服の中に直している。
俺はすぐには答えることが出来ず、暫くの間ぼーっと空を見ていた。
「神様?」
すると羽根を直し終えたガブリエルがキョトンとして俺を呼んだ。
「……一体……どういうつもりだ?」
上手く動かない口を動かし、俺はガブリエルを見据えた。
女だからって手加減はしないぞ!!と脅すように。
するとガブリエルは青くなり、口元に手をやった。
「あの、ミカエルが……、神様はダイビングが好きだからって……、猛スピードで降下するようにと……」
……ミカエル、貴様の仕業か!!
さっきの心配そうなミカエルの面影は吹っ飛び、してやったりと笑うミカエルの顔が脳裏に浮かんできた。
「覚えてろよ!!ミカエル――ッ!!」
俺は天に向かって叫んだ。
でも、そのお陰で俺の不安は一気に消え去った。
これもミカエルのお陰なんだろうけどな。
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