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イヴまであと4日
俺達は爺さんが住む家に着くと移動の疲れが出たのか、飯も食わずに眠りについた。
いくら神や天使といっても、人間と同じように飯も食えば睡眠だって取る。
唯一違うことを挙げるとすれば、死なないことだけだ。
「――様、神様。起きてください。残された時間は僅かしかありませんよ?」
爆睡している俺を、ガブリエルは躊躇うことなく起こした。
ん~と背伸びをして、俺は重なろうとする瞼をどうにかこじ開ける。
「日本にいますからね。今日の朝食はお味噌汁に焼き魚、納豆にだし巻き玉子をご用意いたしました」
ちゃぶ台に着いた俺は並べられている朝食に見入ってしまった!
なんだ!?この匂いは!!
それに濁った汁物に、グロテスクな物体。
「こんな物を、人間は食しているのか?」
「見た目で判断してはいけませんよ?これがなかなかの美味なんです」
ガブリエルはそう言うと、強烈な匂いを発している物体をぐるぐると掻き混ぜだした。
うわ!!粘ついてやがる……
「うん!美味しい!」
ガブリエルは俺の存在を忘れているのか「美味しい、美味しい」と連呼しながらちゃぶ台の上にある自分の食事を平らげた。
「……」
それでも戸惑う俺に「朝食抜きで働くおつもりですか?」と見放しの言葉をかけると、ガブリエルは食器を片し始めた。
俺は仕方なく、その物体を恐る恐る口へ持っていったのだが――
「?」
これが思いの外美味かった!
そしてそれを皮切りに、俺は全ての食事を平らげたのだった。
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