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イヴまであと5日
「神様!!た、大変でございます!!」
それはある寒い寒い冬の日のことだった。天界といえども地上が暑ければ暑い、寒ければ寒いという非常にアナログなシステムになっている。
ちょうどその日も、地上から吹き上がる風が天界に寒さを運んでいた。
「どうした?ミカエル?」
四大天使の一人、ミカエルが珍しく取り乱して俺の元へやってきた。
元は冷静沈着かつポーカーフェイスのミカエル。その彼がこんなに慌てた様子なのを見ると、よっぽどのことがあったのだろう。
「た、大変なのです!!」
「だから落ち着けと言うのに、一体何があったんだ?」
何も知らない俺は一先ずミカエルを落ち着かせようとしたのだが――
「これが落ち着いていられますか!!サンタクロースがお亡くなりになったのですよ!!?」
逆に気持ちを逆なでしたようで、俺はミカエルに一喝されてしまった。
神という威厳は何処へいってしまったのやら……。
だが俺は怯むことなくミカエルの専売特許の冷静沈着を装い、そんなことかと露骨に肩を落として見せた。
「そんな爺さんが一人亡くなった位で大袈裟な……えっ?」
「だから!!サンタクロースが死んだのですよ!!」
ピンとこない俺に苛立ちをあらわにしたミカエルは、言葉遣いまでもが『お下品』になってしまった。
そして俺はというと?
「なんだって!!!?」
やっと事の重大さを飲み込んだのであった。
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