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夢見は最悪だった。
何を見たかはわからないし記憶にもない。別に予知夢を見れるとかそんな特技もない。
ただ何となくイライラが残りながら意識が戻った。
それでも顔は上げずにもう一度寝れないものかと考える。
しかし、寝ることは出来ず、どうしようもなくぐだぐだしてると耳慣れた声が聞こえた。
「おい、遥喜!起きろ」
やけに煩い。仕方無しにのろのろと顔を上げる。
予想通りの顔がそこにはあった。
どうやら怒っているようだ。
「…んだよ」
「なんだよじゃねーよ!お前人の荷物勝手に詰め込んだろ!」
「あぁ、感謝しろよ…」
まだ夢見の悪さが残ってるので大分素っ気ないがまぁいいだろう。
ぶつぶつと親友が喚く。
「おかげで携帯取るのに10分はかかったぞ!」
「俺みてーに制服に入れとかねぇからだよ」
財布と携帯は制服に常に入れておく。取り出し易いし、そうすれば鞄を持たなくてもなんとかなる。
「だいたい今日の机の上悲惨だったぞ。遅刻したろ」
「うぐっ…」
反抗が出来ないらしい。ま、遅刻したのがいけないんだからな。
俺は伸びをして立ち上がる。
携帯の時間を見るとHRまで後5分もない。が、そんなの気にしない。
教室から出ていこうとする俺に対し親友の真(まこと)は怪訝そうに言ってくる。
「もうすぐ始まるぞ?どこ行くんだ?」
「トイレ」
これが嘘だということは、直ぐに真もわかっただろう。
でもHRなんて面倒なもの、出たくない。
サボる気満々で教室を出た。
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