聖夜の奇跡

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*** 『……っ!?』  買い物帰り。  いきなり俺の服の袖を掴んできた菜乃花。 『は……離し……』  動揺し過ぎて声が裏返る。  そんな俺を楽しそうに見上げて菜乃花は笑った。 『い や だ ~』 『……っぅ』  こんなガキみたいなやりとりにすら幸せを感じてしまう。  俺はかなり末期なんだろうか。  いや、菜乃花からみれば、俺は充分ガキなんだけど。 『……重くない?』 『一袋くらい持てなくてどうするの』 『ん……あ』 『わ……っ』  不意に足を止める俺にぶつかりそうになりながらも、菜乃花は何とか止まると、不思議そうに俺の視線の先を追った。 『わぁ……』  途端、嬉しそうな歓声をあげて、そこに駆け寄っていく。  そこにはオモチャ屋さんがあり、ショーウィンドウ越しに飾られた、様々なぬいぐるみがみれた。
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