聖夜の奇跡

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***数日後*** 『……やっちゃった』  一人苦笑いを浮かべる俺。  鞄の中には、銀行から下ろしてきたばかりのお金。  母が俺の為に一生懸命貯めてくれてた貯金。  後ろめたさがないと言えば嘘になる。  だけど、やっぱり俺は菜乃花の笑顔がみたいんだ。    菜乃花といると、こころの真ん中がほんのり温かくなる。  ころころ変わる表情が愛しくて仕方無い。  ねぇ。  【好き】って言ったら、きみの表情はどう変わるのかな?  どうしても見てみたい。  照れ屋な俺が、初めて“告白”してみたくなったんだ。 『母さん……』  俺はそれを報告をするため、母の眠る地へと足を向けた。 ***  人気のない墓地は街の賑やかなムードからは隔離され、ひっそりとしている。  俺以外の人の気配はなかった。  砂利を踏み締める足音だけが耳に届く。 『……』  俺は母の墓石の前に座ると、そっと手を合わせた。
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