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ねぇ母さん。
俺ね、やっと譲れないものが出来たんだ。
我が儘いってでも、手に入れたい【クリスマスプレゼント】が。
もしもこの気持ちが通じたら、そうしたら一番に母さんの元にいくから。
聞かせてね?
母さんの『ありがとう』を――……。
『……』
顔をあげる。
周りの視線に、俺は涙が頬を伝っていることに気付く。
信号が、青から赤になった。
恥ずかしさに、慌てて目頭を擦る俺の視界に、反対側の歩行者通路、駆けてくる菜乃花の姿が映った。
『六輝ぃっ』
『………ッ!!』
信号は、赤。
菜乃花の横には、止まれず突っ込んでいく車。
足は勝手に動いていた……。
きみを失いたくない……。
『菜乃花ぁぁぁあっっッ!!!!』
もう、ごめんねは嫌なんだ。
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