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【菜乃花サイド】
『菜乃花ぁぁぁあっっッ!!!!』
ドンッ……!!
六輝の声と同時に、私の体が飛ぶ。
視界が一瞬途絶えた。
『………』
何が起きたのか、理解できなかった。
いや。
理解することを拒否していた。
『…………』
掌に付いた赤い液体を、ただただ茫然とみつめる。
遮断されていた聴覚が、徐々に機能を取り戻し、周りの騒然とした気配を私に伝えてきた。
そう。
私は無傷だ。
わたしは……。
『む、つき……?』
私の膝元。
そこから血は溢れていた。
愛しい六輝の身体から……。
『ね、嘘でしょ……?』
溢れて、溢れて……。
『や……六輝……これ、止まんない……』
止まらない。
『む……つき………止まんないよぉっ……ッ』
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