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幸せそうな家族連れや恋人達が横を通りすぎる。
街はキラキラと輝く電飾に彩られ、聖なる夜へ向かう準備は万端だ。あちこちに赤い服をきた人達の姿もみえる。
そう、今日はクリスマス。
会社勤めの人達も、今日くらいは早く切り上げて、愛しい人の元へと急ぐのだろう。
『私も行かなきゃ……』
呟くと、私は足を動かした。
『……』
薄暗い廊下に、足音が響く。
ここは市内にある総合病院の中。
私はとある病室の前に立つと、そっと扉を開けた。個室であるその部屋には、当然ベッドは一つだけ。私はベッドの傍らに立つと、そこに眠る人物をみつめて微笑んだ。
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