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『六輝……待って……っ』
『……ん』
『……え』
『持ってやるから』
『……ありがとう』
おじさんに頼まれて、六輝と買い出しにきた私。
最初は半分づつ分けてたんだけど、これが重くって。
数歩遅れる私に呆れたのか、六輝は私の手から更に半分荷物を取ると、また背中を向けて歩き出した。
ふいに軽くなった手の中。
『……』
不器用な六輝の精一杯の勇気に微笑むと、私は六輝を追い掛け、並んで歩き出した。
『六輝』
『何?』
『背、伸びた?』
『多分……?』
『へぇ……』
『……何』
『いや。かっこよくなったかなぁ、なんて』
『……っは!?』
私の何気ない一言に真っ赤になる六輝。
こころの真ん中がほんのり温かくなる。
何故かな?
六輝の表情が変わるのをみているのが幸せなんだ。
ねぇ。
【好き】って言ったら、きみの表情はどう変わるのかな?
みてみたいきもするけど、やっぱりこのままがいいようなきもする。
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