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『菜乃花さぁ、最近付き合い悪くなぁい?』
街で偶然出逢った友人とご飯。手近なマックに入り、椅子に腰掛けた瞬間のこの台詞。
『へ?そぉかなぁ?』
私は素知らぬフリをして、ポテトを摘まんだ。
『悪いよ~。合コン誘っても全然乗ってこないし。あ~、あんたこないと良い男率下がるんだよねぇ』
大袈裟に溜め息を吐く友人に対し、苦笑する。
『ごめん』
『いいけど……ぶっちゃけ男出来た?』
興味津々でぐいっと額を寄せてくる。
瞳はいたずらっ子のそれ。
『いないよ』
私は即答する。
『なぁんだ……』
友人は残念そうにむくれると、椅子に座り直して手にしたジュースのストローをくわえた。
『てっきり、かと思ったのに』
『ご期待に添えずすいません』
『いいですよぉだ』
『はは……ん?』
ふと視線を向けた人混みの中に、私は見慣れた顔をみた気がした。
あれは……。
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