メリークリスマス

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  「ねぇ、サンタさんに何お願いする!?」 「えー、新しい服かなぁ」 「何お前らまだサンタなんか信じてんのかよ!」 「幼稚ー」 けらけらと笑う男子。 それにムスッと、女子は口を尖らせた。 「別に良いじゃん、あんた達に関係ないんだしさぁ」 「まぁ関係ないけどー?」 「ホンットむかつくよね、あんた達」 「べろべろべー!」 舌を出して男子は挑発する。 僕は呆れていた。 好きな子を虐める。 キミこそ幼稚だと思うけどね。 「イーッだ!ね、榊原くんはサンタさん信じてる?」 「え?」 僕に振られるとは思っていなかったので、少し驚く。 女の子は頬を染め、僕に微笑んでいた。 それを見て男子が僕を睨む。 …そういうことに巻き込まないでほしいな。 「榊原はカッコ付けだから、信じてないって言うに決まってるさ!」 「カッコ付けじゃない!カッコイイの!」 「大人っぽいし、あんたとは月とスッポンなんだから!」 「うぐっ…」 男子がショックを受け、押し黙る。 僕は溜め息をついた。 「まあ、いるかもしれないね」 「ホント!?」 「うん。北の国のどこかには」 「で、トナカイに乗って来るんだよね!」  「厳密にはソリだけどね。僕は空を飛ぶまでは信じてないかな。 近くの街の子供にだけ配ってると思う」 「でもあたしいつも枕元にプレゼント置いてあるよ?」 「親がそうしてるからね」 「そっかぁ…」 女の子はがっくりと肩を落とした。 でも僕は、それが理解出来ない。 どうしてサンタがいないだけで悲しくなるの? どっちにしろプレゼントは貰えるのに。
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