メリークリスマス

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  いい子にする、というのがよくわからない。 僕の中では、あまり母さん達の前をうろつかないことがいい子になるということだから。 手伝いと言っても、洗濯も掃除も僕がやってるし、買い物もする必要はない。 だから僕は、せめて二人にご馳走を作るという考えが真っ先に思い浮かんだ。 そうすれば、三人でご飯も食べられる。 三人でご飯なんて、したことあったかな? えへへ…母さん達、喜んでくれるかな? いい子だねって、僕の頭を撫でてくれるかな? 母さん達の笑顔を思い浮かべながら、僕は家に帰って来た。 真っ暗な部屋の電気をつけ、エプロンをつけてキッチンに立つ。 よし! まずは時間の掛かるシチューからだよね! 袖を捲くり、材料を取り出して具を刻んでいく。 「いてっ…」 左手の人差し指がぱっくりと切れ、血が出て来る。 傷口をくわえると、鉄の味がした。 慣れないことはするもんじゃないなぁ。 それでも僕は微笑みながら、指に絆創膏を貼っておいた。 グツグツと煮えるシチュー。 味見をしようとして、ちょっと火傷した。 「…美味し」 初めてにしては上出来だと思う。 レタスを洗ってちぎり盛り付け、斜めに切ったきゅうりとプチトマトを乗せドレッシングをかければサラダの出来上がり。 七面鳥は買ってきたものをチンすればオッケー! 白いテーブルクロスを棚から引っ張り出し、敷く。 食器を並べ、ワイングラスを二つ母さんと父さんの席に起き、赤ワインのボトルも置いた。 母さんと父さんは赤ワイン好きだもんね。 棚から取って来たけど、これでいいのかな?
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