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「雪、キレイ……!」
「ホワイトクリスマスだね……まるで僕らの出会いを祝福してくれてるみたいだ」
「あは、詩人みたい」
高橋……本日付でお前は俺の心の友に任命する。
会場に乗り込むや否や、明らかに40は越えているオバサンバニーガール略してオバニーに案内された時は本気で殺意を覚えたが(オバニーに対しても)、個室で俺を待っていたのは普通の可愛い女の子略して天使だった。
「いやいや、君を見ていると自然に口が愛を語ってしまうのサ、ごめんな」
「ふふ、お茶目さんですねぇ。あたし、嫌いじゃないですよ、そういうの」
いける。
この娘となら未来を共に歩んでいける。俺は思わず身を乗り出した。
「とりあえず結婚し……ハッ、、ごごごごめん! 俺って奴はいつも階段を二段飛ばしどころかミサイルで吹っ飛ばすような所があってそれで」
慌てふためく俺を制するようにして、彼女の人差し指がそっと俺の唇に触れた。彼女の暖かい体温が指越しに伝わり、身動きが取れない。彼女は無邪気な笑みを浮かべながら、
「物事には順序があるでしょ……ね?」
と、上目遣いで色気たっぷりに言い放った。正直今死んでも後悔しない。絶対にしない。
「そ、そうだよね、はは。えっと、とりあえず電話番号を」
携帯を取り出そうとする俺を再び制し、彼女は1メートルほどのバカでかいボストンバッグを取り出した。
「1つだけ、お願いがあるの」
「な、なんだい?」
期待に満ちた目をキラキラさせながらゆっくりとジップを開けてゆく彼女。その中身に気付いた時、俺の瞳から自然と涙が溢れだした。
「悪い話じゃないのよ。これはね、1万年と2千年前から愛された由緒あるツボなの」
絶望した。
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