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「悔いが残らないように、精一杯ね」
あたしは無理して、聞き分けのいい彼女を演じてる。
言いたいこと、全部我慢して。
一体、誰のため?
そのまま予約先──あたしのバイト先──のレストランに電話を入れ、
あたしはこっそりと涙を落とした。
一人じゃとても家にいられないから、働くことにした。
そっちの方が気が紛れると思ったから。
でも、余計、つらいかもしれない。
幸せそうなお客さんに、いつもは元気を貰うのに。
今日はあたしの幸せを、お客さんが持って行っちゃってるみたい。
「ありがとうございました」
あたしのありがとうは、全然ありがとうって、思ってない。
ヒロシにいつも掛けている言葉とおんなじね。
きっとお客さんも気づいてる。
そんなつもりで、ここに来たんじゃないのにね。
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