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「ミチルー!!」
黒い影は天にも届くような、透き通った声で呼びかける。
あたしは荷物がレンガ敷きの道に落ちたことにしばらく気づかなかった。
「ミチル!!」
影の主は、あたしの前に駆け寄ると、膝を折って肩を大きく上下させた。
「ど……して?」
驚きの余りに声が出ない。
「ミチル、いつも俺が仕事で急に会えなくなっても、文句一つ言わないで送り出してくれるだろ?
今日だけは、絶対にミチルを悲しませたくなかった」
ヒロシの口からこぼれる息が白くて。
イルミネーションも真っ白で……。
あたしはようやく気づいた。
あたしはヒロシのありがとうが聞きたくて。
自分のために、今まで我慢していたのね?
今度こそ涙が頬を伝う。
そうして、優しい白い光があたしたちを包み込む。
思わず、ヒロシの胸に飛び込んだ。
「ありがとう……!!」
今日いちばんのありがとうを、あなたに。
メリー・クリスマス☆彡
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