くじけのクリスマス

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まず、プレゼントに期待してはいけない。 くれない方がマシだ…。 何故なら、どう頑張っても喜べない物を、この家のサンタはくれる。   長男の優は一度、正月に母がおもちゃの福袋を買っているのを見てしまった事がある。   誰かの誕生日に出すのか?それともお年玉代わり(久慈家は親からのお年玉という文化は無いが。)に子供達に渡すものかと思っていたが…。   …それは、クリスマスにやって来た。   その時、優が貰ったのが『ゼンマイを巻くと延々とサンドバックを叩き続ける猿』であった。 優小学5年生のクリスマス…。   優は笑い転げた。 親や兄弟が頭がおかしくなったのではないか?と心配するほどに…。   嬉しくて笑ったのではない。 サンドバックを無意味に叩き続ける猿の姿が滑稽で、楽しくて、笑い転げたのでもない。   自分でも、何故可笑しいのか分からない。 楽しくない、嬉しくもない。 『もう、笑うしかない。』 優はその言葉の意味を理解した気がした。 今の自分がまさにそうだ…。   その猿は弟達によって分解され(銀玉鉄砲やパチンコ等の標的になった。)いずこかへ消えた。
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