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魔力総量が高くただ己のためにその力を使い、その恐怖により"暴君"というカリスマを築いたサザワード。
そのサザワードの手綱をうまく握り、国を滅ぼさない程度に国民に恐怖を植え付けたカーター。
国の在り方はともかく、"平和"に統治するということにおいてこの二人の相性は抜群なのかもしれない。
女王は相変わらず水晶に見とれている。
見てみれば中身は先程の海から変わって一面は森…、柔らかい日だまりに照らされた緑の風景だった。
「カーター…。」
腹心を呼ぶその声はささやくくらいの小さい。
しかしその中の強い意思をカーターは見逃さなかった。
「ん?どうしたっちゃ?何かあったばい?。」
返事を返したカーターに女王は向き直った。
表情は恍惚…、もはや我慢出来ないと言いたげにその口元を不気味に歪めながら彼女はいつも通りの"ワガママ"を口にした。
「はい!カーター…、私はこの世界が、欲しい!! エッヘッヘェー…。」
これが戦争の幕開け。
始まりは善でも悪でもなく、ひとつのワガママ…。
力あるものに許される一方的な搾取であった。
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