約束

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キラキラ輝く街を一人で歩く。 赤と緑で包まれたプレゼントを持ち、はしゃぐ子供の声。 暖かな母親、父親の笑顔。 寄り添い、微笑むカップル。 街路樹にはライトが点けられ、店のあちこちにクリスマスツリーが飾られ、暖かな光がこぼれる。 「……きれい」 何もかもが、嘘のように綺麗。 光に全てが惑わされる。 世界が全て幸せであるかのように、この光はすべてを隠してしまう。 「神様なんて、いない」 街の真ん中に立っている大きなツリーをみながら呟く。 「あるのは、地獄だけ」 もう自分の汚れた手じゃ、誰も抱きしめられない。
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