0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにが、無理……?」
「………」
「……なにが、無理?」
叫び、頭を抱えしゃがみこんだ自分の上から、落ち着いた声がふりかかる。
ゆっくり、はっきりとした口調で問いかけてくる、漆黒の影。
「今さら、何が無理なの?」
彼女の長い黒髪が、自分の肩に降り注ぐ。
「顔を上げなさい。朔夜」
雪のように真っ白な手が自分の頬に当てられ上を向くと、影のように暗い色の瞳が自分を見つめていた。
「今さら、何から逃げようとしているの?」
最初のコメントを投稿しよう!