76人が本棚に入れています
本棚に追加
「僕たち、もう終わりだね…。」
「うん。 バイバイ………。」
あれからもう1年がたつ…。
君がいなくなってから1年が過ぎた。
部屋を掃除していると、ふと僕は気がついたんだ。
「このシミ…。」
僕らが付き合い始めてから君が初めて僕の家に来たとき、君はコーヒーを入れてくれた。
「キャ~ッ!」
ガッシャーン!!
床に転がってたビンにつまずいてしまった。
コーヒーはこぼれ、じゅうたんはコーヒーのシミで染まってしまった。
そんな思い出の詰まったシミ…。
「あっ、あれも。」
辺りを見回してみると、僕らの脱け殻がたくさんあった。
1年前からなにも変わってない部屋。
だけど、何かが変わったような気がするんだ。
「何なんだ? この感じ…。」
心の中で呟く。
またいつかのように君と笑い合えるように、僕は頑張っているよ。
ねぇ…。
僕は、君の前では弱い男になりたくなかった。
常に強がってたんだ。
そんな僕は、君の瞳にどんな風に映っていたんだろう…?
僕は、あの空に浮かんでいる雪白の月を見上げる度に思うんだ。
僕はただ君を愛していただけなんだ。
ただそれだけなんだ。
こんな事を思っていると、なんだか胸が痛くなる。
まるで心に、ぽっかりと穴が開いたみたいに…。
君にさようならって言われるよりも、君にさようならって言う方がきっとツライと思う。
もしあの時、勇気を出して切り出せていたなら、今のこの痛みは少しでも楽になっていたのかな。
最初のコメントを投稿しよう!