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オオカミのお菓子屋なんて、最初は誰も近寄りませんでした。
お菓子を買いに行ったら最後。ぱくり、と食べられてしまう。
そう考えたのです。
ところがある日、
「おなかすいたぁ」
羊くんがひとり、ふらふらと歩いていました。
おいしそうなにおいにつられたのでしょうか。
「あー、お菓子屋だぁ」
一目散に駆け寄ります。
「いらっしゃいな」
羊とオオカミ。
「やぁ、オオカミさん」
羊は相変わらず間延びした調子で挨拶をしました。
オオカミさんはびっくり。初めてのお客さん。初めての怖がらなかった人。
「僕がこわくないのかい?」
「こわい? 何それ」
だそうです。
それ以来、徐々に客足は増えました。
オオカミを怖がる人も少なくなり、オオカミさんはとても嬉しそう。
そして毎日、彼の隣りには羊くんがいます。
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