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「翔汰、何やっとったん?」
翔汰がバスに乗ると、真っ先に泉が尋ねてきた。
「いや、なんか変な奴に会ったんだよ」
泉は興味津々に翔汰を見る。
「……それってもしや入部希望者か?」
二人の背後から違う声が聞こえた。
「あのー近藤さん。離してください」
一つ上の先輩、近藤俊二(こんどう しゅんじ)が後ろの座席から翔汰の顔を手で覆っている。
俊二は飄々とした性格で観察力に長けている、チームの副キャプテン。
三年生がいない部活の中で、裏から指揮をとる役割を果たしている。
その洞察力と分析力には皆が一目置いており、監督も俊二に助言を求める事がある程だった。
「翔汰、ノリ悪いで」
「だってノリも悪くなります。今日もまた負けて」
翔汰が困りながら言うと、俊二の隣にいる少年も顔を覗かせる。
「ま、終わってしまった事はしゃあないやん。反省して次に繋げな」
俊二はそう言って笑った。
「それで、何があったん?」
副キャプテンの隣にいた大柄の少年は尋ねた。
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