不思議な少年

12/14
前へ
/342ページ
次へ
 「翔汰、何やっとったん?」 翔汰がバスに乗ると、真っ先に泉が尋ねてきた。 「いや、なんか変な奴に会ったんだよ」 泉は興味津々に翔汰を見る。 「……それってもしや入部希望者か?」 二人の背後から違う声が聞こえた。 「あのー近藤さん。離してください」 一つ上の先輩、近藤俊二(こんどう しゅんじ)が後ろの座席から翔汰の顔を手で覆っている。 俊二は飄々とした性格で観察力に長けている、チームの副キャプテン。 三年生がいない部活の中で、裏から指揮をとる役割を果たしている。 その洞察力と分析力には皆が一目置いており、監督も俊二に助言を求める事がある程だった。 「翔汰、ノリ悪いで」 「だってノリも悪くなります。今日もまた負けて」 翔汰が困りながら言うと、俊二の隣にいる少年も顔を覗かせる。 「ま、終わってしまった事はしゃあないやん。反省して次に繋げな」 俊二はそう言って笑った。 「それで、何があったん?」 副キャプテンの隣にいた大柄の少年は尋ねた。
/342ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1381人が本棚に入れています
本棚に追加