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「鮎川さん……実は変な奴が明日から入部するから、って言われまして」
鮎川啓太(あゆかわ けいた)は長身に優しい顔つきの少年。
俊二とは幼なじみで唯一俊二を抑える事ができる人だった。
「そうなん? 新入部員やったら大歓迎やけん、良かったやん」
「いや、そいつ本当に性格悪くて……」
そんなやり取りの中、翔汰は津田という少年の言葉を思い出した。
『裕希……安藤裕希に伝言ヨロシク――』
翔汰はあの時訳も分からず受けてしまった約束を伝える為、安藤を探した。
時間が早いので野球部しかいないバスの中を見回して目当ての人物を探す。
「おった。なぁ安藤!」
「……何?」
安藤裕希(あんどう ゆうき)は無口で殆ど喋らない捕手。
彼はこの辺では全国レベルのプレーヤーがいる事で有名な荒井シニアに所属していた。
正捕手だったらしく、そのリードは上手くて肩が強かった。
しかし、そんな才能高い裕希が弱小野球部に入ってるのか未だに謎だった。
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