転校生

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次の日の事だった。 朝に行われる恒例行事のホームルーム。 ある一つのクラスは、突然来ると言われた転校生の話題で賑わっていた。 クラスメートの一人の話では、格好いい、と騒がれている。 一年一組。 「初めまして。津田達也です」 翔汰は黒板に書かれた名前と、教卓の横に立つ少年を見比べて、目を大きく見開いた。 「嘘やろ!?」 翔汰は叫びそうになって慌てて口を塞いだが、声は漏れていたらしい。 担任はにやりと笑って翔汰を見つめる。 「なんや、沖田。転校生と知り合いなんか?」 「えっ……あの」 クラスの視線が翔汰に集まった。 急に注目された事で、顔が火照るのが分かる。 「ちょうどええ。お前、津田君に学校案内しとけ。じゃあ席は沖田の隣で」 「嘘……」 すたすたと一番後ろの翔汰の席まで歩いて来る。 「よろしく」 にこりと微笑んだ整った顔は不思議な雰囲気を感じさせた。
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