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「慶哉、気持ち悪い。し、うるさい」
何事かと、教室がざわめくのを感じて、翔汰は出入り口に向かった。
「なんや翔汰くん、俺に冷たくない?」
慶哉はわざと落ち込んだ様子で肩を落としている。
「それもうざい。で、なんの用? 忘れ物なら貸さないけど?」
ふん、と鼻を鳴らし、翔汰は友人を見下した。
「うざい言うなよなー。つか、貸さないとかひどくない!? 違う違う。ほら噂の転校生や。翔汰のクラスなんやろ」
瞳を輝かせながら彼はどれがその人物なのか捜すため、教室を見回した。
「沖田、誰、そのうるさい人……」
その時だった。
翔汰の後ろからぬっと顔を出した少年がいる。
「うるさい言うなや!」
慶哉は顔を上げて、にこにこと笑う相手を見た。
「あー慶、こいつが津田。お前が見にきた転校生だ」
「よろしく」
「まじかよ!?」
慶哉の息を飲み込む音が聞こえた。
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