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この学校の自慢はやけに広い運動場だった。
放課後になると、それぞれの部活は忙しく準備を始める。
翔汰も同じく、小走りで部室に向かっていた。
バックネットの裏にある建物は倉庫兼部室。
運動場の隅にあるバックネットには、早くも何人か部員が集まっていた。
「あっ!」
だんだんと近づいていくと部室の前に達也は居た。
外は暑く、今まで着ていた学ランを脱ぎ、ワイシャツをまくっている。
「――おわぁ!?」
そんな姿を見ていた時、突然の衝撃が翔汰を襲った。
振り返ると慶哉がふざけた顔つきで笑っている。
「はぁー」
「翔汰さ、何故にため息!?」
予想外の大きな溜め息に慶哉は慌てる。
「別に……」
「うわぁー超傷つくわぁ」
冗談まじりに慶哉は言った。
「はいはい」
「翔汰のばぁか」
彼は、慶哉をかるく受け流し、バックネットへと向かう。
翔汰に気づいた達也は手招きをした。
「慶哉、ちょい持って」
「ん。いいよ」
慶哉に荷物を預け、達也の元に行く。
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