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「津田……何?」
翔汰が来ると少年はにこやかに笑ったままこう言った。
「ねぇ。投げていい?」
「はいッ!?」
唐突に切り出したセリフに翔汰の声は上ずった。
(なんやねん、こいつ)
翔汰でなくても、こう思っただろう。
しかし、そう言った本人は期待一杯の顔で翔汰を見る。
「先輩くるまでわかんないし。……待ってろよ。もうちょいしたら先輩来るから」
「了解ー」
達也は自棄に素直に返事を返した。
『投げさして』
そう言った時の達也の顔はただ、野球が好きだと言う気持ちで溢れていた。
「おーきたくーん!!」
その声と共に、後ろからまたもや衝撃がきた。
(また慶哉か)
翔汰は二回目の慶哉の悪ふざけに嫌気がさした。
「うざい! いい加減にせせえよ!!」
そう言って手を振り払い、分かりきった犯人を見た。
「こ……近藤さん!?」
そこには慶哉ではなく、俊二が地面に座っている。
翔汰が振り払った時に転けたらしい。
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