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「……やるな、翔汰」
尻餅をついたままにやりと笑う俊二。
一気に血の気がひいた翔汰は青ざめながらこう言った。
「先輩本当にすいません!」
「いいって。気にすんな」
俊二はやんわりと言って立ち上がる。
「……慶哉と間違えたんです」
申し訳なさそうにそう答える。
「翔汰さ、俺に対して冷たくない?」
聞き捨てならないと慶哉は会話に割って入った。
「だって、慶哉だし」
「おいおい、そりゃ酷いやろー」
慶哉はひきつった顔をした。
「翔汰そやで。慶哉やってお前にかまって欲しいんよ」
俊二は慶哉の肩に手を乗せてそう言った。
「そういえば、君ってウワサの転校生君?」
バックネットに持たれている少年を見て、俊二は尋ねた。
「……誰?」
達也は新たに現れた少年に戸惑っている。
「うん? 俺は、副キャプテンの近藤俊二。ヨロシクねぇ」
「どうも。津田達也です」
簡単に挨拶を済ませると俊二は達也を上から下までじっくり眺めた。
「……ふーん。なるほどね」
良からぬ事を思いついたのか、俊二はやけに嬉しそうに笑っている。
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